「国別対抗」的な印象を感じるACLエリートの予選
ACLエリート(Elite)の予選リーグの前半戦4試合が終わったが、何だか「国別対抗」的な印象を感じている。
これは、今季からACL(アジア・チャンピオンズリーグ)のやり方が大幅に変わったことに関係している。3つの大会に再編され、その頂点に位置するACLエリートは24クラブ出場の「少数精鋭」リーグになった。
大会方式も様変わりし、従来の予選グループ分けがなくなった。
24クラブを東西地区の12クラブずつに分け、それぞれ予選リーグを構成。各クラブは予選で8試合ずつを戦い、勝敗ポイントで順位を競う。8位以内で予選通過となり、ベスト16が揃う。詳しくは、既報の「大変革の「ACLエリート」は何が変わった? ― 複雑になった大会方式を整理」にまとめた。
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大きな変更点の一つが予選リーグの進め方だ。
12クラブが1つのリーグを構成して順位を競うが、総当たり戦ではない。各クラブは抽選で決められた他の8つのクラブと「1試合ずつ」戦う。ホームか、アウェーのどちらかで1試合だけ戦う。馴染のないやり方で「スイス方式」というらしい。
個人的には、第1戦で負けたとしても、第2戦でリベンジの機会があるホーム・アンド・アウェーが好きだった。私がACLに感じる最大の魅力は「国や地域のプライドをかけた激しいガチンコ勝負」。負けたままでは終われないからだ。
Jリーグ発足前はサッカーでは韓国や中国に歯が立たなかった日本だが、地道に技術力を高めて30年余り。いまやアジアの強豪国に成長した。
近年はそんな日本に「嫉妬」とも感じられるライバル心をむき出しにし、韓国や中国は激しいぶつかり合いを挑んでくる。そこには歴史的背景もからむ。そのガチンコ具合いがたまらなく好きなのである。「絶対に負けてはならない」という感情や高揚感を抱いて毎年ACLを見てきた。
なので、対戦機会が1度しかいない場合、敗れたときの「やり場のない怒り、悔しさはどこで晴らせばいいんだ!」、なんて考えたわけである。
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ACLエリート開幕直後、そんな心配がすぐに現実に起こった。
横浜F・マリノスが初戦のアウェー戦で光州FC(韓国)に3-7の大敗を喫したのだ。
ぬぉーーーーー。なんたる屈辱!!
あまりの悔しさに6点入った時点で試合を見るのを止め、テレビを消した(その後、もう1点入ったことを知り、悲しかった)。最大のライバル韓国勢には絶対に負けてはならないのに。
ホーム・アンド・アウェーではないので、マリノスがリベンジする機会は保証されていていない。予選を突破して勝ち進めば、ベスト16以降で再戦する可能性はあるが。とにかくやるせない。でも、私以上にやるせないのはマリノスの選手だろう。
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初戦大勝で勢いづいた光州FCは、続く第2戦で川崎フロンターレも1-0で撃破してしまった。
くそぉぉぉーーーーー。昨季Kリーグ3位でACL初参戦の伏兵にJリーグ勢が続けざまに敗れるという屈辱の事態。
「ヴィッセル神戸に叩いてもらうしかない…」と、考えるしかなかった。
第4戦で神戸が光州FCをホームに迎えることが決まっていたからだ。
そして、「国別対抗」的なものを感じたのはこのあたりから。
予選リーグのルールを補足すると、同一のサッカー協会(連盟)に所属するクラブは対戦しない。よって、神戸、横浜、川崎がつぶし合うことはない。
神戸は自らの予選突破のために全力で光州FCを叩きにいくわけだが、それは横浜、川崎の順位アップにもつながる。さらに言えば、神戸戦を前に光州FCは3連勝と快進撃を続けていた。だから、横浜、川崎だって「神戸、頑張ってくれー」となっていたはずである。
迎えた第4戦。神戸は2-0で光州FCを退けた! 横浜と川崎の「敵を討ってくれた」のである。
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ACLエリート前半4試合を終え、ヴィッセル神戸は首位、横浜F・マリノスは3位、川崎フロンターレは8位。いずれも予選突破圏内をキープしている。
「国別対抗」的な印象と言ったが、各国の出場クラブ数は等しいわけではなく、東地区の12クラブの内訳は日本(3)、韓国(3)、中国(3)、オーストラリア(1)、タイ(1)、マレーシア(1)。
だから、「国別対抗」的な印象は私のようなサポーター目線が感じるものなのだろう。「Jリーグ勢が光州に“3タテ”食らうのは見たくねー!」「ヴィッセル神戸、なんとか勝ってくれいー!」。みたいな感情である…。
とにかく間接的に助け合ってでも、Jリーグ勢3クラブがすべて8位以内に入って予選突破してほしいー。