35歳。でもメッシはやばい…。準決勝3点目の演出に見た真価
アルゼンチンの至宝リオネル・メッシが、ラストチャンスとなるワールドカップ(W杯)制覇に向けてキレキレのプレーで観客を魅了している。
メッシはUEFAチャンピオンズ・リーグ制覇、史上最多7度のバロンドール受賞など輝かしい経歴を誇る。一昨年に死去した同国の英雄ディエゴ・マラドーナの再来と言われ、彼に憧れ、そのプレーを追いかけてきた。だが、いまだマラドーナのようにワールドカップをその手で掲げたことはない。
こうして迎えたW杯2022カタール大会。メッシはすでに35歳。おそらく、ラストチャンスだろう。
今大会、メッシのほかにもオーバー35歳のレジェンドが多く出場している。ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドは37歳。クロアチアのルカ・モドリッチも37歳。ウルグアイのルイス・スアレスは35歳だった。全盛期に比べてキレや走力に衰えはあるものの、一瞬の状況判断や正確無比な技術は健在。「あ~、やべ~な」って何度も口が開いた。
そんな中、メッシが見せるそのプレーはいまだ衰え知らずの感じ。35歳とは思えない…。で、プレーを見ると「サッカーはやっぱりスピードじゃない! 緩急なんだ!!」と再認識させられた。
そう強く感じたのが、準決勝クロアチア戦の3点目のアシストだ。見ました?
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で、それを振り返る前に少しだけ脱線。ある選手について話しておきたい。
毎回W杯が始まると、必ず「掘り出しもの選手」が出てくる。だいたいヨーロッパの中堅クラブでプレーしていて、あまり名前を知られていない存在だが、W杯大会中のプレーぶりを見て「誰だこいつは!?」となり、市場価値が急上昇してまう選手のことだ。
カタール大会におけるその一人が、クロアチアのヨシュコ・グヴァルディオルだ。現在、ドイツ1部のRBライプツィヒでプレーする若干20歳のセンターバック。左利き。11月上旬に鼻骨を骨折し、大会中は黒いフェイスガードを装着してプレーしていたので、その点でも目立ち、名前を覚えられたかもしれない。
ベスト16で日本と対戦したときには、ドイツ戦で逆転ゴールのスピードスター浅野拓磨を抑え込んだ。「クロアチアの壁」としてベスト4進出に大きく貢献し、「大会後はビッグクラブによる争奪戦になるだろう」とささやかれている。
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ここからメッシの話に戻したい。というのも、メッシのすごさを再確認できたのは、そのグヴァルディオルとのマッチアップを見たから。それが準決勝クロアチア戦の3点目のアシストだった。
後半24分。ハーフウェイラインを少し過ぎたあたりの右サイドのライン際でメッシがボールを受けた。グヴァルディオルがすぐにプレスをかけたが、メッシは素早いタッチでかわし、縦へドリブル。だが、ここは20歳のディフェンダー。メッシの速いドリブルに全速力ですぐに追いついた。
でも、メッシの真価はここからだ。
グヴァルディオルが追いつく瞬間にキュッとスピードダウン。それにつられてグヴァルディオルも速度を落とすと、再びギアを上げスピードアップした。グヴァルディオルが再び追いかけ、もう一度メッシに追いつこうとした瞬間、メッシは今度は後ろに方向転換。グヴァルディオルがまたそれにつられて体の向きを変えたところ、また逆をとってキュッと前へ方向転換。もう翻弄しまくり!!
この連続した2度の方向転換で、グヴァルディオルはメッシとの間に少しの距離をつくられた。メッシはそのスキを見逃さない。一気にスピードを上げ、ペナルティエリアに侵入。グヴァルディオルはPKを恐れて体をぶつけられず、なす術もない。あとはメッシがゴール前で待つ味方にパスを出すだけ。3点目を演出した。
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大会屈指のセンターバックとして、評価もうなぎのぼりだったグヴァルディオルだが、メッシの前では何もできず。翻弄され、あっさりかわされてしまった…。
このシーン。とにかくメッシのやばさ、怖さが凝縮されたプレーだった。この「緩急」の使い方なんだなあ~。速いだけじゃダメなんだなあ~と強く感じた。日本人はみんなで真似しましょー。
W杯で見られるメッシのプレーもいよいよ残り1試合のみになった。メッシはマラドーナを超えられるだろうか(現在、W杯歴代最多得点記録を更新中)。決勝でも超絶プレーを見せてくれー!