秋春制移行でようやく始まるACL。中国クラブが元気なさそう

 ACL(AFCチャンピオンズリーグ)が今年も「ようやく」始まる。「ようやく」というのは、今季から欧州同様に秋春制に移行したためだ。

 日本は春秋制なので、Jクラブは選手の体が仕上がっているシーズン中に始まるというメリットがある。でも、Jリーグで優勝争い中の横浜F・マリノスや浦和レッズにとっては酷な状況かもしれない。

 それと秋春制だと、来年の決勝トーナメントに進んだ場合、主力選手が移籍している可能性がある。

 今年5月に昨季のACL決勝を戦った浦和レッズがそうだった。決勝まで活躍したFWキャスパー・ユンカーは名古屋グランパスに移籍していなかった。代わりに決勝まで不在だった興梠慎三が得点をあげてアジア制覇へ導いた。(思えば、監督も昨季と代わっていた)

 Jクラブが戦うACL東地区のグループ予選は9月19日から12月13日まで開催される。今回はコロナ対策のため特定の国で集中的に行うセントラル方式ではなく、従来の“熱い”ホーム&アウェー方式が復活。ウキウキ感がこみあげる。

 各国のリーグ王者が国家のプライドをかけてぶつかり合うACLがたまらなく好きなことはこれまで何度も言ってきた。

 とりわけ、歴史などを背景に東アジアでライバル関係にある日中韓のクラブによる対決は激しさ1.5~2倍。ヨダレが出るほど楽しみなのである。

 それに加えて、ここ数年は新しい見どころも出てきた。経済成長著しい東南アジアのクラブによる番狂わせだ。

 タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアなどといったASEAN新興国のクラブが日中韓、そしてオーストラリアのクラブを脅かしている。

 そういえば、昨季は韓国の強豪、蔚山現代がマレーシアのジョホール・ダルル・タクジム(JDT)に2敗してグループリーグ敗退に追い込まれた。韓国勢はほかにも番狂わせをやられたクラブがあり、国内メディアが「試合に臨む態度」を批判した。

 ちなみに、昨季のJクラブはASEAN勢に対し一つの金星も与えなかった。

 過去2大会はコロナ禍を理由に3軍レベルの若手で臨んだ中国のクラブ。

 「ACL軽視!」「出場枠を減らせ!」なんて声も出たが、今季はちゃんとトップチームが出場するようだ。

 ただ、中国サッカーはいま国内の景気減速やサッカー界に蔓延する汚職の影響などですこぶる元気がなさそう。

 中国の出場クラブを調べていたらこんな情報があった。

 昨季の中国超級リーグ王者の武漢三鎮のことだ。今年6月に成績不振で監督が辞任され、元川崎フロンターレ監督の高畠勉氏が新監督に就任していた。その後、8月にクラブ経営を支えるスポンサー企業が撤退することを発表した。

 クラブの解散とかはなく、いま中国で話題の不動産バブルを懸念した財政健全化に向けた動きらしいのだけど、なんかゴタゴタ感、バタバタ感が伝わっくる。元気がなさそうだ。

 中国クラブの気になったことをもう一つ。8月下旬に開催されたACL本戦出場をかけたプレーオフ、上海ポートとBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)の試合を見た(パトゥムの公式YouTubeにアップされてたー)。

 現役の中国代表選手が数人と元ブラジル代表のオスカルがいる上海ポートだったが、細かくパスをつなぐパトゥムに完全にゲームを支配されていた。いなされてた。で、ホームなのに2ー3で競り負けた。

 パトゥムには元Jリーガーのチャナティップがいてキレキレ。オスカルは一人で気を吐いている感じ。後半は選手交代で押し込むシーンもあったが、やはり元気がなさそうに見えた。

 今季のACLは3軍ではなく、トップなので言い訳できない中国のクラブ。でも、なんか元気なさそうな印象。力をつけてきているASEAN勢を抑えられるのか。そこにも注目している。

 個人的な見どころはもっとある。

 J2の甲府はどこまでやれるのか(国立開催は客が入るの?)とか、燃えるチャナティップの古巣対決(対川崎)。今季はフィリピンのクラブが出るなあとか、現役韓国代表選手が拘束中の中国のクラブと韓国クラブの対戦はきっと激しいだろうな、などなど。

 きりがないのでこのへんにしておきます。DAZNを見られる方は今季も一緒に楽しみましょー。

by 北 コウタ
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