ついに出た、香川真司が初の自叙伝。『心が震えるか、否か。』にこめた思い
編集を担当したミムラユウスケ氏によると、香川は「生涯で出す唯一の本にするのだから、中途半端なものは作りたくない」と取り組んだ。そのため、異例ともいえる取材時間と制作時間が費やされたという。本書は、本文2段組で380ページ。分厚い1冊に仕上がっている。
成長を信じ、「心を震わせる」環境を作り出す力
誰しもが「心が震える選択」をしたいと願っている。しかし、人生において、そうした状況に何度巡り合うことができるだろうか。
香川は本の中でこうもつづっている。
「心を震わせてくれる環境なんて、だれも用意してくれない。後悔をしないように歩んできた道に、ワクワクする環境を僕の力で作り出していく。それが、サッカー選手としての成長につながると信じて」と。
そういえば、脳科学者の中野信子氏が以前にテレビ番組で話していたことばを思い出した。
「大人になると、『正解を選ぶ』のではなく、選んだ答えを『正解にする』ことのほうがずっと大切になる。そうした力が試される」
やはり、スポーツや芸術、経済など様々な分野の第一線で活躍する人たちは、自分の置かれた立場や環境をプラスに働かせる「強さ」がある。そうつくづく思った。
最近の日本代表は、南野拓実(イングランド・サウサンプトン所属)が10番を背負いプレーすることが多くなった。しかし香川本人は、代表復帰やワールドカップ2022カタール大会出場への揺るぎない思いを公言している。
なんだかもう一度、10番を背負う香川のプレーが見たくなってきた。
(了)
『心が震えるか、否か。』
香川真司(著)、ミムラユウスケ(編)
幻冬舎刊/1,600円(税別)
1章 @SENDAI 13歳で縁もゆかりもない街へ。
2章 @OSAKA 恩人たちとの出会い
3章 @DORTMUND 熱狂を巻きおこす
4章 @MANCHESTER 期待と重圧、そして挫折
5章 @DORTMUND 原点に立ち返る
6章 @RUSSIA ロシアW杯ドキュメント
7章 @ISTANBUL 測りきれなかった、想いの強さ
8章 @ZARAGOZA→@THESSALONIKI 信念を貫く