WEリーグ&なでしこ

日本の女子サッカーリーグは「WEリーグ」発足でこう変わった

日本の女子サッカーリーグは「WEリーグ」発足でこう変わった

 今年は日本の女子サッカー界にとって変革の1年となる。日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ(Women Empowerment League)」が9月に開幕するからだ。

 WEリーグの誕生によって、日本の女子サッカーはプロとアマチュアに分けられた。なでしこリーグからいくつかのクラブがWEリーグに参入するわけだが、なでしこリーグの再編を含め、全体像を把握しきれていない人は多いのではないだろうか。どうように変わったのか、まとめてみた。

昨季は「なでしこ1部・2部」と「チャレンジリーグ」の3部制

 まず、昨季までの状況をおさらいしたい。

 これまで日本の女子サッカーリーグの頂点にあったのは「なでしこリーグ」。なでしこリーグは1部(10クラブ)、2部(10クラブ)および3部に相当する「チャレンジリーグ」(EAST・6クラブ、WEST・6クラブの計12クラブ)で編成されていた。

 2020年シーズンのなでしこリーグ、チャレンジリーグの参加クラブおよび当該リーグの最終順位は以下のとおりである。(           はWEリーグに参入するクラブ)


〈なでしこリーグ1部/2020シーズン〉

順位 クラブ名 ホームタウン
1 浦和レッズレディース 埼玉県さいたま市
2 INAC神戸レオネッサ 兵庫県神戸市
3 日テレ・東京ヴェルディベレーザ 東京都稲城市
4 セレッソ大阪堺レディース 大阪府大阪市・堺市
5 アルビレックス新潟レディース 新潟県新潟市・聖籠町
6 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース 千葉県市原市・千葉市
7 マイナビベガルタ仙台レディース 宮城県仙台市
8 ノジマステラ神奈川相模原 神奈川県相模原市
9 伊賀FCくノ一三重 三重県伊賀市
10 愛媛FCレディース 愛媛県


〈なでしこリーグ2部/2020シーズン〉

順位 クラブ名 ホームタウン
1 スフィーダ世田谷FC 東京都世田谷区
2 ちふれASエルフェン埼玉 埼玉県狭山市など
3 オルカ鴨川FC 千葉県鴨川市
4 ニッパツ横浜FCシーガルズ 神奈川県横浜市
5 AC長野パルセイロ・レディース 長野県長野市
6 ASハリマ アルビオン 兵庫県姫路市など
7 大和シルフィード 神奈川県大和市
8 FC十文字VENTUS 埼玉県新座市・東京都清瀬市
9 日体大 FIELDS 横浜 神奈川県横浜市
10 バニーズ京都SC 京都府京都市


〈チャレンジリーグ(3部に相当)/2020シーズン〉

EAST

順位 クラブ名 ホームタウン
1 JFAアカデミー福島 福島県楢葉町など
2 NGUラブリッジ名古屋 愛知県名古屋市
3 静岡SSUアスレジーナ 静岡県磐田市
4 ノルディーア北海道 北海道札幌市
5 つくばFCレディース 茨城県つくば市
6 新潟医療福祉大学女子サッカー部 新潟県新潟市

WEST

順位 クラブ名 ホームタウン
1 アンジュヴィオレ広島 広島県広島市
2 スペランツァFC大阪高槻 大阪府高槻市
3 福岡J・アンクラス 福岡県福岡市
4 セレッソ大阪堺ガールズ 大阪府大阪市・堺市
5 岡山湯郷Belle 岡山県美作市
6 吉備国際大学Charme岡山高梁 岡山県高梁市

審査を通過した11クラブが「WEリーグ」に参加

 上記の22クラブのうち、審査を経てWEリーグへの参入が認められたのは黄色で示した10クラブ。なでしこ1部の7クラブ、2部の3クラブが承認された。

 WEリーグ参入の主な条件は、▽運営にあたる法人を構成する役職員の50%以上を女性とする(うち最低1人は意思決定に関わる)▽プロA契約選手5名以上およびプロB・C契約選手(最低年俸270万円)10名以上と契約を締結する▽監督はJFA・S級(またはS級相当)の資格保有者とする▽U-18、U-15、U-12チームを保有する(U-18は3年以内)▽5000席以上のホームスタジアムを確保する▽ホームタウンを設定する、など。なかなか厳しい。

 なでしこリーグのクラブやJリーグを母体に持つクラブ、それ以外のクラブなど計17のクラブが参入申請を行ったが、6クラブの初年度参入が見送られた。なでしこ1部の伊賀FCくノ一三重、なでしこ2部の大和シルフィードはいずれも、5000席以上のホームスタジアムが確保できなかったことが大きな要因だとみられている。

 一方、Jクラブを母体に持ち、昨季はなでしこ1部で4位の成績を残したセレッソ大阪堺レディースは、「育成型クラブ」としての理念を重視した上で「プロの世界は厳しい。まだ早い」と初年度の申請を見送った。

WEリーグのロゴマーク

 WEリーグは9月から5月までの「秋春制」で開催される。当面、降格はなく、参入審査によってクラブ数を増やしていく方針だ。

 以下は、WEリーグの参入が認められた11クラブ。


〈WEリーグ/2021-2022シーズン〉

クラブ名 ホームタウン
マイナビ仙台レディース 宮城県仙台市
三菱重工浦和レッズレディース 埼玉県さいたま市
大宮アルディージャVENTUS 埼玉県さいたま市
ちふれASエルフェン埼玉 埼玉県狭山市など
ジェフユナイテッド市原・千葉レディース 千葉県市原市・千葉市
日テレ・東京ヴェルディベレーザ 東京都結城市
ノジマステラ神奈川相模原 神奈川県相模原市
AC長野パルセイロ・レディース 長野県長野市
アルビレックス新潟レディース 新潟県新潟市
INAC神戸レオネッサ 兵庫県兵庫市
サンフレッチェ広島レジーナ 広島県広島市

 
 ここで説明しておきたいのが、大宮アルディージャVENTUSとサンフレッチェ広島レジーナについて。

 大宮アルディージャVENTUSは、昨季までなでしこ2部だったFC十文字VENTUSを継承するかたちで、Jリーグ・大宮アルディージャの運営会社が新たに設立した。元女子サッカー日本代表監督の佐々木則夫氏を総監督として招へい。さらに元日本代表の有吉佐織、阪口夢穂、鮫島彩、現日本代表のスタンボー華らを一斉に獲得するなど注目を集めた。

 一方、サンフレッチェ広島レジーナはまったくゼロからのチーム作り。「参入の予定はない」としていたJリーグ・サンフレッチェ広島が一転して昨年10月に新クラブを発足させた。急ピッチで選手やスタッフの獲得を進め、元日本代表の近賀ゆかりと福元美穂らの加入を発表している。クラブの名称は今年3月に決まったばかりだ。

 WEリーグはクラブ名に地域名を入れることを条件としているが、企業名やブランド名を入れる「ネーミングライツ(命名権)」を認めている。各クラブの経営・運営をまずは安定させたいためだろう。これにより、浦和レッズレディースは三菱重工の命名権取得により、「三菱重工浦和レッズレディース」に名称を変更した。

 マイナビベガルタ仙台レディースは、Jリーグ・ベガルタ仙台のチーム経営権の譲渡により「マイナビ仙台レディース」に変わった。

今季から「なでしこリーグ」は1部12クラブ、2部8クラブの2部制に

 今季からアマチュアの最高峰となったなでしこリーグは、1部12クラブ、2部8クラブの2部制に再編され、3月下旬に開幕した。

なでしこリーグのロゴマーク

 1部は、WEリーグに参加しない昨季1部の3クラブに加え、昨季2部の6クラブおよびチャレンジリーグの3クラブで編成された。

 2部は、昨季チャレンジリーグのクラブを中心に編成。「バニーズ群馬FCホワイトスター」は、昨季2部のバニーズ京都が関東女子リーグ1部の群馬FCホワイトスターに移管されたため、名称やホームタウンなどが変わった。

 また、昨季チャレンジリーグの新潟医療福祉大学女子サッカー部とセレッソ大阪堺ガールズは地域リーグへ降格した。

 以下は、今季のなでしこリーグ参加クラブおよび昨季の成績。


〈なでしこリーグ1部/2021シーズン〉

クラブ名 ホームタウン 昨季成績
オルカ鴨川FC 千葉県鴨川市 2部3位
スフィーダ世田谷FC 東京都世田谷区 2部1位
日体大FIELDS横浜 神奈川県横浜市 2部9位
ニッパツ横浜FCシーガルズ 神奈川県横浜市 2部4位
大和シルフィード 神奈川県大和市 2部7位
NGUラブリッジ名古屋 愛知県名古屋市 チャレンジE2位
伊賀フットボールクラブくノ一 三重県伊賀市 1部9位
コノミヤ・スペランツァ大阪高槻 大阪府高槻市 チャレンジW2位
セレッソ大阪堺レディース 大阪府大阪市・堺市 1部4位
ASハリマアルビオン 兵庫県姫路市 2部6位
アンジュヴィオレ広島 広島県広島市 チャレンジW1位
愛媛FCレディース 愛媛県 1部10位


〈なでしこリーグ2部/2021シーズン〉

クラブ名 ホームタウン 昨季成績
ノルディーア北海道 北海道札幌市 チャレンジE4位
バニーズ群馬FCホワイトスター 群馬県前橋市 2部10位
つくばFCレディース 茨城県つくば市 チャレンジE5位
JFAアカデミー福島 福島県楢葉町など チャレンジE1位
静岡SSUアスレジーナ 静岡県磐田市 チャレンジE3位
岡山湯郷Belle 岡山県美作市 チャレンジW5位
吉備国際大学Charme岡山高梁 岡山県高梁市 チャレンジW6位
福岡J・アンクラス 福岡県福岡市 チャレンジW3位

 
 昇降格は、1部の12位が2部に降格し、2部の1位が1部へ昇格する。1部の11位と2部の2位は入替戦を行い、勝者が1部、敗者が2部となる。また、2部の最下位は地域リーグとの入替戦を予定している。

 WEリーグの誕生によって、日本にこれまでなかった「女子プロサッカー選手」という職業が確立された。いまサッカーを楽しむ小中高生たち、大学や地域リーグでプレーする人たちにとって新たな目標ができたことで、なでしこリーグをはじめとする各地のアマチュア女子リーグの活性化やレベルの底上げが期待される。

by KEGEN PRESS編集部
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