WEリーグ&なでしこ

ビッグネーム獲得に期待! WEリーグの「外国人選手補助金制度」とは?

アメリカ代表のミーガン・ラピノー選手
アメリカ女子代表MFのミーガン・ラピノーは一目見てみたい選手だ(source: Jamie Smed,CC BY 2.0,via Wikimedia Commons)

 日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の開幕まであと3ヶ月半。各地でプレシーズンマッチが行われ、機運は高まりつつある。ピッチ上にまだ「助っ人」外国人選手の姿は見られないが、各クラブは今年3月に決まった「外国籍女子選手受け入れ支援制度」を受けて獲得準備を進めている。リーグのレベル向上や活性化を考える上で世界クラスの選手の加入は大きなメリット。WEリーグは補助金制度をもって、クラブの外国人選手の積極的な獲得を促したい考えだ。

リーグ活性化につながる強豪国などの選手に320万円支給

 WEリーグは今年3月24日の理事会で「外国籍女子選手受け入れ支援制度」の導入を決定。岡島喜久子初代チェアは「外国人選手を獲得できれば、サッカーのレベルは全体的に上がり、集客アップにもつながる。なでしこジャパンも底上げされる」と期待。各クラブに積極的な獲得を呼びかけている。

 よって、ここで言う「外国籍女子選手」はリーグの活性化が見込める強豪国で活躍するトップクラスの選手。WEリーグは補助金支給の対象となる選手の条件を次のように定めた。

 以下①~④のいずれかを満たすことが条件だ。

〈支援制度対象選手〉
※①~④のいずれかを満たすことが条件

①FIFAランキング上位13位までの加盟国の代表経験(ユースカテゴリーを含む)のある選手

<FIFA上位ランキング加盟国>
アメリカ、ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデン、イングランド、オーストラリア、ブラジル、カナダ、ノルウェー、スペイン

②FIFAランキング上位3位(アメリカ、ドイツ、フランス)国籍の選手でトップリーグそれと同等のレベルでプレーする選手

③下記加盟国のトップリーグでベスト11、得点王などのアワードを受賞した選手
アメリカ、フランス、ドイツ、イングランド、スペイン

④支援対象選手検討グループで承認された選手

 条件③の例としては、かつてINAC神戸レオネッサでプレーした韓国女子代表MFのチ・ソヨン選手(チェルシーFCウィメン所属)が挙げられる。FIFAランキング上位国の選手ではないが、2014年にWSL(イングランドの女子トップリーグ)年間最優秀選手に選ばれている。

 条件④からは、①~③に該当しない選手であっても、実績や実力があれば幅広く検討したいというWEリーグの姿勢がうかがえる。

 支援対象に認定された場合、クラブには対象選手1名につき1シーズン単位で上限320万円の補助金が支給される。支給期間などの詳細は以下のとおりだ。

〈支給金額・期間など〉

▽対象選手1名につき320万円(上限)が支給される(ただし、世界トップレベルの選手と認められた場合に額を考慮する)

▽補助金の支給対象となる契約期間は2021年7月1日から2021-22シーズン終了時まで。なお、クラブで複数名契約した場合でも上限は320万円。

▽選手との契約が12カ月間に満たない場合は月額26万円で換算する(月の途中での加入、退団の場合は日割でり計算)

▽補助金額より対象選手への報酬が低い場合は、対象選手にかかる経費でクラブが負担するもの(ビザ取得費、保険代、航空券代、住居費、通訳費用など)に充当できる(ただし、契約期間内に発生する経費に限る)

▽対象選手の契約が期間途中で解除された場合は、残りの期間分の補助金は返金する(月額26万円+日割りで計算)

 上限は320万円としているが、選手の実績などを考慮し、必要であれば上乗せも含めて柔軟に対応したい考えだ。

 WEリーグはビジョンの一つとして、「世界一のリーグ価値」を目標に掲げている。ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタ選手のような、リーグの知名度や人気の向上、他の外国人選手の勧誘につながる見込みのあるビッグネームであれば大歓迎だろう。

 例えば、2019年度のFIFA女子バロンドールを受賞したアメリカ女子代表MFのミーガン・ラピノー選手(OLレイン所属)。男子選手も惚れ惚れするほどの圧巻のプレーで存在感を放つ。彼女のプレーは何度も参考にさせてもらった。個人的に一目見てみたい選手だ。WEリーグとしては補助金を上乗せしてでも来てほしい選手だろう。

by 北 コウタ
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