再び世界の頂へ　2024年パリ五輪を戦う「なでしこメンバー」をおさらい！

東京五輪から３年　若手の台頭で顔ぶれはだいぶ変わった

　パリ・オリンピック（五輪）が開幕した。そして、再び世界の頂をめざす「なでしこジャパン」（サッカー女子日本代表）の戦いが始まった。

　４年に１度の五輪だが、前回の東京五輪が新型コロナウイルスの影響で１年延期されたため、３年ぶりの夏季五輪だ。

　東京五輪のなでしこジャパンはベスト８で敗退。悔しかった。あれから3年。パリ五輪選出のメンバーの顔ぶれはだいぶ変わっている。

　要因の一つにあるのが、近年のなでしこジャパンの人材豊富さだ。

　ユース年代のワールドカップ（Ｗ杯）を経験した若手が次々に台頭し、メンバー争いは熾烈を極める。海外クラブからの熱視線を受け、引く手あまた。「海外組」も急増傾向だ。（8月のU-20Ｗ杯前に“すでにいる海外組”　「ヤングなでしこ」の顕著な変化に関連記事）

大会直前にルール変更　バックアップ選手を含む22人で戦う

　パリ五輪メンバーは、登録メンバー18人とバックアップメンバー4人の22人で構成される。

　ベンチ入りは18人だが、大会直前にルールが変更された。試合ごとに18人の構成変更が可能になり、これにより負傷や体調不良などが生じても対応できるようになった。事実上、22人の総力戦だ。

　22人の顔ぶれは次の通り。「＊」で記した選手は東京五輪のメンバーで、22人のうち8人。半数以上の選手が初の五輪舞台になる。（丸で囲んだ数字は背番号）

〈GK〉
①山下 杏也加（未定／海外移籍準備中）＊
⑱平尾 知佳（アルビレックス新潟レディース）＊

〈DF〉
②清水 梨紗（マンチェスター・シティ／イングランド）＊
③南 萌華（ASローマ／イタリア）＊
④熊谷 紗希（ASローマ／イタリア）＊
⑤高橋 はな（三菱重工浦和レッズレディース）
⑥古賀 塔子（フェイエノールト／オランダ）
⑬北川 ひかる（INAC神戸レオネッサ）

〈MF〉
⑦宮澤 ひなた（マンチェスター・ユナイテッド／イングランド)
⑧清家 貴子（ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン／イングランド）
⑩長野 風花（リバプール／イングランド）
⑫谷川 萌々子（ローゼンゴード／スウェーデン）
⑭長谷川 唯（マンチェスター・シティ／イングランド）＊
⑮藤野 あおば（日テレ・東京ヴェルディベレーザ）
⑯林 穂之香（エバートン／イングランド）＊

〈FW〉
⑨植木 理子（ウェストハム・ユナイテッド／イングランド）
⑪田中 美南（ユタ・ロイヤルズ／アメリカ）＊
⑰浜野 まいか（チェルシー／イングランド）

〈バックアップメンバー〉
⑲千葉 玲海菜／FW（アイントラハト・フランクフルト／ドイツ）
⑳守屋 都弥／DF（INAC神戸レオネッサ）
㉑石川 璃音／DF（三菱重工浦和レッズレディース）
㉒大場 朱羽／GK（ミシシッピ大学／アメリカ）

海外組は圧倒的多数の15人　ロンドン五輪以来のメダル獲得へ

　次に、22人の経歴をより詳しくまとめた。

　ユース年代を含め、過去のFIFA女子Ｗ杯で優勝、準優勝を経験した選手、直近の2023年女子Ｗ杯に出場した選手は追加で情報を加えた。（カッコ内の「名前かな／」に続く数字は、パリ五輪が開幕する日本時間2024年7月27日時点の年齢）

〈GK〉
■山下 杏也加①（やました・あやか／27）
出身地：東京都足立区
所属：未定（海外移籍の準備中）
経歴：村田女子高校（東京都／1年時にGKに転身）　→　日テレ・ベレーザ（2014年～）　→　INAC神戸レオネッサ（2021年～）　→　？（2024年～／海外移籍準備中）
◇2023 女子W杯メンバー

■平尾 知佳⑱（ひらお・ちか／27）
出身地：千葉県松戸市
所属：アルビレックス新潟レディース
経歴：JFAアカデミー福島（2009年～）　→　浦和レッズレディース（2014年～2017年／2014年は特別指定選手）　→　アルビレックス新潟レディース（2018年～）
◇2023 女子W杯メンバー

〈DF〉
■清水 梨紗②（しみず・りさ／28）
出身地：兵庫県神戸市
所属：マンチェスター・シティ（イングランド）
経歴：日テレ・メニーナ（2009年～）　→　日テレ・ベレーザ／日テレ・東京ヴェルディベレーザ（2013年～）　→　ウェストハム・ユナイテッド（イングランド／2022年8月～）　→　マンチェスター・シティ（イングランド／2024年7月～）
◇2023 女子W杯メンバー

■南 萌華③（みなみ・もえか／25）
出身地：埼玉県吉川市
所属：ASローマ（イタリア）
経歴：浦和レッズレディースジュニアユース　→　 浦和レッズレディースユース（2014年～）　→　浦和レッズレディース／三菱重工浦和レッズレディース（2016年～）　→　ASローマ（イタリア／2022年7月～）
☆2014 U-17女子W杯優勝メンバー
☆2018 U-20女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■熊谷 紗希④（くまがい・さき／33）
出身地：北海道札幌市
所属：ASローマ（イタリア）
経歴：常盤木学園高校（宮城県）　→　浦和レッズレディース（2009年～）　→　1.FFCフランクフルト（ドイツ／2011年7月～）　→　オリンピック・リヨン（フランス／2013年6月～）　→　バイエルン・ミュンヘン（ドイツ／2021年5月～）　→　ASローマ（イタリア／2023年6月～）
☆2011 女子W杯優勝メンバー
★2015 女子W杯準優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■高橋 はな⑤（たかはし・はな／24）
出身地：埼玉県鳩ヶ谷市（現・川口市）
所属：三菱重工浦和レッズレディース
経歴：浦和レッズレディースジュニアユース　→　 浦和レッズレディースユース（2015年～）　→　浦和レッズレディース／三菱重工浦和レッズレディース（2018年～）
★2016 U-17女子W杯準優勝メンバー
☆2018 U-20女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■古賀 塔子⑥（こが・とうこ／18）
出身地：大阪府豊中市
所属：フェイエノールト（オランダ）
経歴：JFAアカデミー福島（2018年～）　→　フェイエノールト（オランダ／2024年1月～）

■北川 ひかる⑬（きたがわ・ひかる／27）
出身地：石川県金沢市
所属：INAC神戸レオネッサ
経歴：JFAアカデミー福島（2010年～）　→　浦和レッズレディース（2015年～特別指定選手／2016年～正式入団）　→　アルビレックス新潟レディース（2018年9月～）　→　INAC神戸レオネッサ（2023年7月～）

〈MF〉
■宮澤 ひなた⑦（みやざわ・ひなた／24）
出身地：神奈川県南足柄市
所属：マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
経歴：星槎国際高校（神奈川県）　→　日テレ・ベレーザ／日テレ・東京ヴェルディベレーザ（2018年～）　→　マイナビ仙台レディース（2021年～）　→　マンチェスター・ユナイテッド（イングランド／2023年9月～）
★2016 U-17女子W杯準優勝メンバー
☆2018 U-20女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■清家 貴子⑧（せいけ・きこ／27）
所属：ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン（イングランド）
出身地：東京都西東京市（旧・田無市）
所属：三菱重工浦和レッズレディース
経歴：浦和レッズレディースジュニアユース　→　 浦和レッズレディースユース　→　浦和レッズレディース／三菱重工浦和レッズレディース（2014年～）　→　ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン（イングランド／2024年7月～）
◇2023 女子W杯メンバー

■長野 風花⑩（ながの・ふうか／25）
所属：リバプール（イングランド）
出身地：東京都江戸川区
経歴：浦和レッズレディースジュニアユース　→　 浦和レッズレディースユース（2013年～）　→　浦和レッズレディース（2014年～）　→　仁川現代製鉄（韓国／2018年3月～）　→　ちふれASエルフェン埼玉（2019年1月～）　→　マイナビ仙台レディース（2021年1月～）　→　ノースカロライナ・カレッジ（アメリカ／2022年7月～）　→　リバプール（イングランド／2023年1月～）
☆2014 U-17女子W杯優勝メンバー
★2016 U-17女子W杯準優勝メンバー（大会MVP受賞）
☆2018 U-20女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■長谷川 唯⑭（はせがわ・ゆい／27）
出身地：埼玉県戸田市
所属：マンチェスター・シティ（イングランド）
経歴：日テレ・メニーナ　→　日テレ・ベレーザ／日テレ・東京ヴェルディベレーザ（2013年～）　→　ACミラン（イタリア／2021年1月～）　→　ウェストハム・ユナイテッドFC（イングランド／2021年8月～）　→　マンチェスター・シティ（イングランド／2022年9月～）
☆2014 U-17女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■谷川 萌々子⑫（たにかわ・ももこ／19）
出身地：愛知県名古屋市
所属：ローゼンゴード（スウェーデン）
経歴：JFAアカデミー福島（2018年～）　→　バイエルン・ミュンヘン（ドイツ／2024年1月～）　→　ローゼンゴード（スウェーデン／2024年1月～レンタル移籍中）

■藤野 あおば⑮（ふじの・あおば／20）
出身地：東京都町田市
所属：日テレ・東京ヴェルディベレーザ
経歴：日テレ・メニーナ・セリアス　→　十文字高校（東京都）　→　日テレ・東京ヴェルディベレーザ（2022年～）
★2022 U-20女子W杯準優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■林 穂之香⑯（はやし・ほのか／26）
出身地：京都府宇治市
所属：エバートン（イングランド）
経歴：セレッソ大阪レディースU-15　→　セレッソ大阪レディース／セレッソ大阪堺レディース（2012年～）　→　AIKフットボール（スウェーデン／2020年12月～）　→　ウェストハム・ユナイテッド（イングランド／2022年9月～2024年6月）　→　エバートン（イングランド／2024年7月～）
☆2018 U-20女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

〈FW〉
■植木 理子⑨（うえき・りこ／24）
出身地：神奈川県川崎市
所属：ウェストハム・ユナイテッド（イングランド）
経歴：日テレ・メニーナ・セリアス　→　日テレ・メニーナ　→　日テレ・ベレーザ／日テレ・東京ヴェルディベレーザ（2016年～）　→　ウェストハム・ユナイテッド（イングランド／2023年9月～）
★2016 U-17女子W杯準優勝メンバー
☆2018 U-20女子W杯優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■田中 美南⑪（たなか・みな／30）
出身地：タイ（母親の故郷。生後は神奈川県川崎市で育つ）
所属：ユタ・ロイヤルズ（アメリカ）
経歴：日テレ・メニーナ　→　日テレ・ベレーザ（2012年～）　→　INAC神戸レオネッサ（2020年～）　→　バイエル・レバークーゼン（ドイツ／2021年2月～6月末までレンタル移籍）　→　INAC神戸レオネッサ（2021年7月～）　→　ユタ・ロイヤルズ（アメリカ／2024年7月～）
★2010 U-17女子W杯準優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

■浜野 まいか⑳（はまの・まいか／20）
出身地：大阪府高石市
所属：チェルシー（イングランド）
経歴：セレッソ大阪堺ガールズ　→　セレッソ大阪堺レディース（2018年～）　→　INAC神戸レオネッサ（2021年8月）　→　チェルシー（イングランド／2023年1月～）　→　ハンマルビーIF（スウェーデン／2023年1月～9月までレンタル移籍）　→　チェルシー（イングランド／2023年9月～）
★2022 U-20女子W杯準優勝メンバー（大会MVP受賞）
◇2023 女子W杯メンバー

◇バックアップメンバー
〈GK〉
■大場 朱羽㉒（おおば・しゅう／22）
出身地：神奈川県藤沢市
所属：ミシシッピ大学（アメリカ）
経歴：JFAアカデミー福島（2015年～）　→　イースト・テネシー州立大学（アメリカ／2021年～）　→　ミシシッピ大学（アメリカ／2023年～）
★2022 U-20女子W杯準優勝メンバー

〈DF〉
■守屋 都弥⑳（もりや・みやび／27）
出身地：奈良県北葛城郡上牧町
所属：INAC神戸レオネッサ
経歴：JFAアカデミー福島（2009年～）　→　INAC神戸レオネッサ（2015年～）
◇2023 女子W杯メンバー

■石川 璃音㉑（いしかわ・りおん／21）
出身地：秋田県秋田市
所属：三菱重工浦和レッズレディース
経歴：JFAアカデミー福島（2016年～）　→　浦和レッズレディース／三菱重工浦和レッズレディース（2022年～）
★2022 U-20女子W杯準優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

〈FW〉
■千葉 玲海菜⑲（ちば・れみな／25）
出身地：福島県いわき市
所属：アイントラハト・フランクフルト（ドイツ）
経歴：藤枝順心高校（静岡県）　→　筑波大学（2018年～）　→　ジェフユナイテッド市原・千葉レディース（2018年～／筑波大学在学時から特別指定選手として登録）　→　アイントラハト・フランクフルト（ドイツ／2024年1月～）
★2016 U-17女子W杯準優勝メンバー
◇2023 女子W杯メンバー

◇

　所属を見ると「海外組」は圧倒的多数の15人（清家は海外移籍が決まったばかり、大場は大学チームだが、カウントする）。さらに、海外移籍準備中の山下杏也加とマンチェスター・シティの獲得が噂された藤野あおばの予備軍を加えると17人になる（欲張りすぎか…）。

　人材豊富ゆえに、なでしこジャパン入りはより「狭き門」になった。今回、メンバー選外となった「海外組」の実力者は他にもいる。

　だからこそ、精鋭ぞろいの22人に寄せられる期待は大きい。2012年ロンドン五輪以来のメダル獲得はあるのか。

（了）

＊… 日本サッカー協会（JFA）は7月27日、パリ五輪初戦のスペイン戦で負傷したDF清水梨紗のチーム途中離脱を発表。以後の大会は21人で戦うことになった。