中国サッカーはいまが「分水嶺」。バブル終焉でJリーグを意識した改革へ
プロリーグはすぐにルールを改定し、外国人選手の出場枠を4から3へ削減した。さらには新たな規定として、「移籍金が国外の選手で4500万元(約7億5000万円)以上、国内の選手では2000万元(約3億3000万円)以上となる場合、その同額を『中国サッカー発展ファンド』(若手選手の育成や国家のサッカー発展計画の支援が目的)に支払わなければならない」と決めた。クラブ側はこれにより実質2倍の移籍金が必要となった。
だが、対策は少し遅かったようだ。人件費の未払い問題など多額の借金を抱えるクラブが続出。それに追い打ちをかけるように新型コロナウイルスが発生した。2020年シーズンの開幕が延期されると、各クラブの財政はさらに悪化。プロリーグの厳しい基準をクリアできずに16チーム(1部から3部までの合計)が消滅する事態に陥った。その中には前述の天津天海(天津建権から名称変更)も含まれていた。経営破綻による解散だという…。
サラリーキャップ制、企業名の使用禁止を導入。目指すは「脱企業」か?
バブルの崩壊を受け、中国サッカー協会はついに大なたをふるった。
昨年12月、2021年シーズンからの「サラリーキャップ制」の導入と「チーム名における企業名の使用禁止」が発表された。
プロ選手の税引き前の年俸上限は、「国内選手が500万元(約8300万円)、21歳以下の選手は30万元(約500万円)、国内選手の平均給与は300万元(約5000万円)以下」となり、「外国人選手の年俸上限は300万ユーロ(約3億9000万円)」と決められた(いずれもプロリーグ1部の場合)。
一方、突然すぎるクラブ名の変更指示はいかにも中国らしい。「中立的な名称にすべき」との理由だが、プロリーグよりも長い歴史を持つ一部のチームの関係者やサポーターからは不満の声も出たという。しかし、社会主義の中国では「トップダウン」の指示は「絶対」だ。従わなければリーグを去るしかない。
オーナー企業からすれば、企業名の出せないクラブ運営は宣伝効果が薄い。撤退の選択肢もでてくるだろう。だとすると、中国サッカー協会はこれを想定した上でクラブをふるいにかけたのかもしれない。最優先すべきはプロリーグの安定的な再構築だからだ。