サッカー脳を育む

Jリーガー支える妻、山瀬功治夫人の視点から知るプロサッカー選手の日常

Embed from Getty Images
プロ21年目のシーズンを闘う山瀬選手。写真は今年2月の対東京ヴェルディ戦

 理恵子さんは栄養学にとどまらず、スポーツ心理学や脳科学も並行して学んだという。現在は、アロマテラピーやスポーツアロマトレーナーなどの資格も身に付けている。

 ブログを見つけて、彼女の存在を知り、その著書『アス飯レシピ』にたどり着いた。「こんなにすばらしい奥さんがいたのか。なるほど、長くプレーできるわけだ」。今季、プロ生活21年目の山瀬選手。いまだに活躍できるその理由に、すごく納得した。

読めばきっとファンになる、心揺さぶられる夫婦の覚悟

栄養レシピはどれも美味しそうだ

 『アス飯レシピ』は、山瀬選手が京都サンガFCに在籍時に、京都新聞に掲載された連載「山瀬理恵子のアス飯」(2014年4月から2017年3月まで)の中で紹介された数々の栄養レシピをまとめた一冊だ。

 京都新聞の依頼を悩んだ末に引き受けたことで、連載は好評となり、日本中の人に知られ、テレビ番組や講演会、講習会など彼女の活動の幅は広がっていったという。

 けれども、大変申し訳ないのだが、私がこの本で最も読んでほしいお勧めは、レシピではない。新聞紙面ではレシピの横に添えられたという、短いコラムである。ちょっとした日記のようなもので、これがとにかく面白い!

 山瀬選手がどんな心構えでサッカーと向き合い、日々体をケアし、試合に臨んでいるのか。そのストイックな日常を妻の視点で教えてくれる。もちろん、「山瀬選手の場合」なのだが、とても興味深い内容ばかりだ。

 体に無理が効かなくなってきたベテラン選手としての葛藤、「引退」について話し合ったときの夫婦間のやり取りなど、けっこう赤裸々につづられいる。プロサッカー選手として闘う夫と、夫を支える妻。2人の覚悟がひしひしと伝わってきて、心揺さぶられるものがある。

日記のようなコラムがとにかく面白い

 理恵子さんは、大自然が広がる北海道の十勝地方にある農家の娘として育った。本書中盤には彼女自身の生い立ちや家族との思い出などをまとめた簡単な自己紹介文も掲載されている。

 コラムと合わせ読むと、もう山瀬夫妻を応援せずにはいられなくなっている。2人のファンになることは必至だ――。

(了)


『アス飯レシピ ~アスリートの体をつくる、おうちごはん~』

山瀬理恵子(著)
京都新聞社/1,600円(税別)

関連記事:プロ23年目の山瀬功治は、「永遠のサッカー小僧」の道産子代表だ!

by 北 コウタ
LINEで送る
Pocket