訪れてみたい、“サッカー侍”が戦った街 ― ケルン(ドイツ)
ドイツといえばソーセージとビールだが、ケルンの人々に愛されるのは「ケルシュビール」だ。
「ケルシュ」とはドイツ語で「ケルンの」という意味。「ケルシュビール」を名乗れるのは、ケルン醸造協会を通じて「ケルシュ協約」と結んだ醸造所のみだという。純度法などの製造方法を統一し、伝統を守り続けている。
そんなケルシュビールを代表する銘柄が「ガッフェル・ケルシュ」。2002年以来、FCケルンとパートナー契約を結んでおり、ホームゲームの際にはスタジアムで販売されている。フルーティーですっきりした後味が特徴で、輸入されている日本でも味わうことができる。
西ドイツ時代から優勝15回の古豪「1.FCケルン」
FCケルンは、1948年に創立されたケルン最大のスポーツクラブ。1963年に発足したドイツのプロサッカーリーグ「ブンデスリーガ」の初代王者であり、奥寺氏が所属した1977―1978年シーズンにはブンデスリーガとDFBポカール(ドイツカップ)の2冠を達成した。西ドイツ時代を含めると、リーグ戦、カップ戦の双方で国内優勝15回を誇る古豪クラブだ。だが、1984年以降は優勝から遠ざかっている(ブンデスリーガ2部優勝は除く)。
ヴィッセル神戸で活躍した元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキは、1.FCケルンの下部組織で育ち、トップチームへ昇格。プロデビューを飾った。
ホームスタジアムは収容人数約5万人の「ラインエネルギーシュタディオン 」。正式名称は「ミュンゲルスドルファー・シュタディオン」だが、地元の電力会社「ラインエネルギー」が2023―2024年のシーズン終了まで命名権を取得している。
クラブには特徴的な公式マスコットキャラクターがいる。「雄ヤギのヘネス」だ。
実際の雄ヤギが任命され、たびたびホームゲームに登場する。その名前は、選手、監督としてクラブで活躍したヘネス・バイスバイラー氏(1919年―1983年)から取ったものだ。
クラブ創立2年後の1950年に初代ヘネスが寄贈されてから、すでに9頭の雄ヤギがその任を継承している。現在は「へネス9世」だ。
サポータからの愛を一身に受けているヘネスは、クラブのエンブレムにもデザインされている。ドイツのサッカー記事で「ヤギ」と書かれれば、FCケルンを指すほどだという。
隣接のデュッセルドルフとは市民間で強いライバル意識
ケルンの北35kmに隣接する、同じノルトライン=ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフとは、市民間で強いライバル意識がある。ドイツでは有名だ。スポーツや文化など様々な分野で対抗心をむき出しにしている。
例えば、ビール。アルトビールが好んで飲まれるデュッセルドルフの街で、ケルシュビールを注文すると軽蔑や嘲笑を受けるという。逆もまたしかり。ケルンの街ではアルトビールを頼まないほうがよさそうだ。
サッカーでは、かつて大迫勇也がFCケルンに在籍中に、日本人が多く住むデュッセルドルフに引っ越したことが地元でちょっとしたニュースになったほど。現在、FCケルンはブンデスリーガ1部に、フォルトゥナ・デュッセルドルフは2部に所属するため、一触即発の事態は避けられそうだ。
(了)