女子サッカーのACLが23年創設へ、背景に「広がる欧米との差」
「女子ACLの誕生は、アジアの女子サッカーに勢いをあたえる」
AFC女子サッカー・トップのバイ・リリ氏(以下、バイ氏)が仏メディアの取材に応じ、女子ACLの創設を明かしたのは今年の4月初旬のこと。
「各国が競う女子アジアカップを4年ごとに開催しているが、欧州と同じように、クラブ大会の側面からも女子サッカーを強化する必要がある」とバイ氏は強調した。
バイ氏が手本にするのは「UEFA女子チャンピオンズリーグ」。主催の欧州サッカー連盟(UEFA)に加盟する各国のリーグ上位クラブが参加し頂点を目指す。ドイツやフランス、イングランドなどの強豪クラブの女子チームがしのぎを削りながら、互いに技術を高めている。
「2001年に『UEFA女子チャンピオンズリーグ』が誕生し、この20年の間に欧州の女子サッカーは大きく前進した」
バイ氏は上海出身の42歳。かつては中国代表のフォワードとして活躍した。2004年のアテネ・オリンピックに出場、2006年の女子アジアカップでは優勝に貢献した。指導者を経て2015年から現職を務めている。欧州女子サッカーのこの20年の成長を選手と指導者の両方の立場から見てきたバイ氏なら、女子ACLの早期開催の必要性を強く感じたはずだ。
「『女子ACL』の誕生は、間違いなくアジアの女子サッカーに勢いをもたらす。各クラブが参加のためのライセンス基準を満たすことで、国内リーグはより組織される。新たな商業的価値も生まれる。代表メンバーではない選手には存在感を示すチャンスが与えられる」 今秋に開幕する日本初の女子プロリーグ「WEリーグ」にとっても魅力的なニュースだ。
WEリーグ優勝の先にアジア制覇という目標を見据えられる。出場クラブにはスポンサー獲得の好影響も期待される。さらに選手にとって国外での試合経験は希少価値だ。日本代表を目指す上でのモチベーションアップにもつながる。
課題は“地域の不均衡”。「ギャップを埋めることが最大の仕事」
一方で残された課題について、バイ氏は次のように述べた。
「広大なアジア地域には様々な文化を持つ国が存在する。活況を呈する東アジアから、戦争により荒廃したイランやイエメンなどの中東まで。AFCに所属する47カ国の女子サッカーのレベルは不均衡で、アジア全体の発展をはかるには依然として大きな課題がある。私たちの最大の仕事はその(地域間の)ギャップを埋めること。AFCは発展途上の地域を後押しするためのトレーニング、サポート、資金などを提供していく」