ACLに「3軍」若手チームを派遣した中国のサッカー事情とは?
となると、両クラブの代表選手が6月22日に開幕するACLに出場する場合、代表チームから離れ、UAEから直接タイ、ウズベキスタンのそれぞれへ移動しなければならない。
W杯2次予選後、休む間もなくACLを戦う。ACL終了の7月11日以降に帰国すると14日間のホテル「隔離」が待つ。国内リーグは7月第3週には再開される。コンディションの維持は極めて難しいだろう。
クラブ側がこの過密日程を選択するはずがない。また、仮に主力の「代表組」を除いたトップチームでACLに参加したところで好成績は望めない。「若手の育成」と割り切って、クラブ強化を図る。そのほうがよっぽど合理的だと考えたのではないだろうか。
サッカー協会の意向も働いた? W杯出場は「至上命令」
また、忘れてはならないのは中国が9月から始まるW杯最終予選へ駒を進めたことだ。中国サッカー協会(CFA)としては、代表選手の過密日程は絶対に避けたいだろう。
中国はいま、国家戦略として長期的な「サッカー大国」計画を進めている。サッカー好きで知られる習近平国家主席の肝いりの政策だと言われ、W杯出場は「至上命令」だ。(中国サッカーはいまが「分水嶺」。バブル終焉でJリーグを意識した改革へに関連記事)
北京FC、広州FCの両クラブは主力の代表選手のオーバーワークをもちろん望んでいない。だが、クラブ以上にかれられのコンディションを気にかけているのはCFAだろう。W杯最終予選に向け、8月中旬には代表チームの強化合宿が行われるという。
そう考えると、今回のACLへの若手選手の派遣は、クラブの判断というよりも、「中国サッカー」全体としての判断だろう。CFAは「至上命令」の重圧を背負う。その意向が働いたと考えてもおかしくはない。
(了)
by KEGEN PRESS編集部