日本サッカー

東京五輪サッカー男子の日本代表、攻撃陣の選考ポイントは「突出した“武器”」

 大岩氏はこう答えた。「分かりやすく言うと、『はっきりとした特徴』がある選手。足が速い、体が大きい、あたりが強いなど。ただそこには、(前提として)最低限の技術と状況判断がともなってなければならない。経験がなくても、『その特徴を活かしてやろう』と周りに思わせる選手であれば、経験を積むことで大きくなれる」

 最低限の技術があれば、「特徴のある選手」を選ぶというわけだ。

 また、大岩氏はこうも話した。「最近の若い選手は本当に上手い。テクニックがあり、(時代が)情報過多なので戦術的にも自分たちのころとはまったく違う『頭』を持っている。でも、『足りない』と感じる選手はいる。全体的に上手いが、特徴がない。そういう選手が多いとも感じる」

 これらの発言から、JFAの「育成方針」や「求める選手像」が垣間見れた。

三笘薫
「三苫のドリブルは世界にどこまで通用するのか?」と期待するサポーターの声は少なくない(source: the-afc.com

 「器用貧乏」という言葉があるが、「万能型」よりも「特徴のある選手」、「何か“武器”のある選手」を育てたいという考えだ。「万能型」がダメというわけではない。似たような同等レベルの選手がたくさんいるということだろう。

 FWで落選した田川亨介や林大地(バックアップメンバーとして帯同)にも強みはある。しかし、前田や上田に比べればその特徴は足りず、「万能型」に映ったのかもしれない。

 DFとしてメンバー入りした旗手怜央(川崎フロンターレ所属)は本来は攻撃的MFの選手だ。昨季終盤から所属クラブで左サイドバックを経験したことで、そのユーティリティ性を買われた。だが、久保や堂安、三苫ら強烈な「個」を持つ攻撃陣の中では、MF登録を勝ち取れなかった。

 前田の「スピード」、上田の「動き出し」、久保、堂安、三苫らの「仕掛け」。システムや戦術といったチームの方針がある中、世界と戦うために、金メダルを獲得するために、アタッカー陣には「突出した“武器”」を持つ選手が選ばれた。本大会では、躍動する彼らの「『個』の力」を見たい。

(了)


※〈追記〉

 6月30日、FIFA(国際サッカー連盟)は新型コロナウイルスの影響を考慮し、東京オリンピックの登録メンバーを18人から22人に変更したことを出場国へ通達。これにより、林大地を含む4人のバックアップメンバーは出場可能な正式メンバーに変更となった。   

by 北 コウタ
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