あの国見高校サッカー部が伝統の「丸刈り」を廃止。名門復活へ再始動
アラフォー世代以上のサッカー通なら誰もが「え!そうなの?」と驚くニュースが舞い込んだ。
高校サッカーの名門、あの長崎県の国見高校が今年の新チームから伝統の「丸刈り」を廃止したという。
全国大会13回優勝の強豪。名将去ったあとは低迷期に
国見高校サッカー部といえば、名将・小嶺忠敏氏(現・長崎総合科学大学附属高校サッカー部監督)の在任中に高校選手権6回(戦後最多タイ)、インターハイ5回、全日本ユース選手権2回の計13回、全国大会で優勝した強豪である。元日本代表FWの高木琢也をはじめ、ヴィッセル神戸監督の三浦淳宏、セレッソ大阪所属の大久保嘉人、FC東京などで活躍した平山相太など、あげれば切りがないほど多くのプロサッカー選手を輩出している。
強すぎる当時の“国見サッカー”を象徴していたのは、高校生離れした強靭なフィジカル、無尽蔵のスタミナ、青と黄の縦じまカラーのユニフォーム、そして「丸刈り頭」だ。「国見といえば、これだよね」という感じで記憶に残っている。
実直さをモットーに丸刈りは入部の条件。とにかく規律が厳しそうなイメージが当時はあった。選手権全国大会の開会式での入場行進では、選手の並び、腕振り、かけ声がまるで軍隊のようにビシッと揃い、他校と一線を画していた。
常勝チームとして一時代を築いた国見高校。しかし、名将・小嶺氏が2007年に同校を離れると低迷期に入った。2010年度の高校選手権出場を最後に全国大会には出ていない。OBたちはさぞ歯がゆさを感じているだろう。
「多様性が求められる時代」。OBの木藤監督が風穴開ける
そんな国見高校サッカー部を「なんとか復活させたい」との思いで、伝統の“国見スタイル”に風穴を開けたのが赴任4年目の木藤健太監督である。長崎県出身の39歳。国見OBでもあり、アビスパ福岡とモンテディオ山形で活躍した元Jリーガーだ。大久保嘉人の1年先輩にあたる。
木藤監督は国見高校に赴任した当初から違和感があったという。長く全国大会から遠ざかっているのに、伝統や過去の「プライド」ばかりを守っているようにみえた。強かった時代のやり方にとらわれすぎているのではないか。そう感じ、丸刈りの廃止を提案したという。
驚いた。てっきり、「坊主をやめたい」と言い出したのは生徒のほうだと思っていたからだ。
木藤監督によると、昨年にも一度提案したが、3年生から「いや、国見は坊主なんで!」と反対されたという。また、「国見のイメージ」を大切に思う周囲の声もあったようだ。
3年生の卒業を機に再度話し合い、木藤監督は「坊主」廃止に踏み切った。