WEリーグカップ決勝の「選手紹介テロップ」が面白かったので伝えます
10月14日に開催された2回目のWEリーグカップの決勝を見た。
互いに初タイトルを狙うサンフレッチェ広島レジーナとアルビレックス新潟レディースの試合だ。延長、PK戦の末に広島が勝った。得点こそ入らなかったが、白熱した面白い試合だった。
この試合、違った意味でも面白かった。
試合中に表示された「選手紹介のテロップ」のことだ。スポーツ中継でよくある、カメラが選手に寄ったときに出るやつである。
選手の顔写真、ポジション、背番号、名前、年齢のほか、「アピールポイント」が表記されていた。
その内容がちょっと面白かったのである。
ひしひしと伝わった「視聴者の興味を引きたい」という意図
試合が始まって7分後。
最初に出たのは、広島のMF11番中嶋淑乃のテロップだった。
MF11 中嶋淑乃(24) WEリーグNo.1ドリブラー ’23アジア大会決勝で先制ゴール |
「’23アジア大会決勝で先制ゴール」はいいが、続いたのは何の関連性もない「カワウソが鮭を食べる動画にハマる」というアピール文だった。
試合が少し進み、再び中嶋のテロップが出た。今度は内容が変わっていた。
MF11 中嶋淑乃(24) “WEリーグの三笘薫” カフェオレを作ろうとするも |
パターンが2つあるようだ。
2つ目はいかにもウケ狙いか…。サッカーの内容ではなく、お茶目さがアピールされていた。
直後、カメラは同じく広島のMF23番柳瀬楓菜にクローズアップ。テロップが出た。
MF23 柳瀬楓菜(21) ボール奪取力&運動量が武器 茶道を初体験しての感想 |
茶道体験をステップワークに活かす? 剣道の間違いじゃなくて?
そう思ったが、活かせないとも言えないわけで。
とにかく、最初の2選手のテロップを通じ、視聴者の興味を引きたいという意図がひしひしと伝わってきたのである。
選手が決めたアピール内容なのか。番組スタッフのチョイスか?
アピール文が作成された背景を勝手に考察してみた。
きっと選手への事前アンケートをもとに作られたのだろう。
ただ、内容がいたって真面目な選手と、そうでない選手に分かれていた。また、形式に統一性がなく、バラバラ。中には、視聴者へ質問するパターンもあり、Q&A方式もあった。
選手自身が考えたのか。それとも、番組スタッフがアンケート回答から適当にチョイスして編集したのか(試合はテレビ東京がBSでライブ放送)。
分からないが、どちらともとれる内容だ。
とにかく、選手のパーソナリティは強烈に伝わる。「次の選手はどんな内容か?」と、試合展開と同じくらい気になったわけである。
私の推測だと、番組スタッフがベンチ入りメンバーを含めた選手全員のアピール文を2パターンずつ必死に用意したのだろう。
「掲示板」的な自由さ、内容の組み合わせからみると、夜通しで、やっつけで、仕上げたのかもしれない。(あくまで勝手な想像です)
そうであれば、しっかり伝えてあげなければ…。
試合中に表示された20選手の紹介テロップの内容はこちら!
ということで、ツッコミどころのある面白い内容も多かったので、試合中に表示された選手20人のテロップを紹介したい。2パターン出た選手は①、②と分けた。
残念だったのは、出場した選手全員の紹介テロップが表示されたわけではないということだ。
あと、なぜか後半の途中から延長戦の終わりまでの時間帯は、紹介テロップは一切出されなかった。番組側の都合か。問題でも発生したのか。謎である。
【サンフレッチェ広島レジーナ】
GK1 木稲 瑠那(23) 髪色にこだわる守護神 Q 髪色を派手にしたメリットは? |
DF2 近賀 ゆかり(39) 不動のキャプテン ’11W杯 なでしこ優勝メンバー |
DF5 市瀬 千里(24) 高さと強さを兼ね備えたCB 7月に千葉Lから新加入 |
↓ そりゃ名前だし、表すでしょ!
MF8 小川 愛(25) 4カ国で育ったストライカー 父の仕事の関係で海外生活 |
MF11 中嶋 淑乃(24) ①WEリーグNo.1ドリブラー ’23アジア大会決勝で先制ゴール ②“WEリーグの三笘薫” カフェオレを作ろうとするも |
↓ 何のための募集ですか…
FW13 髙橋 美夕紀(30) 新加入につき美味しい店募集中 「焼肉はタンが好きです」 |
↓ 「オススメ欄」とは?
MF14 松本 茉奈加(24) 持ち味は圧倒的なスピード 恋愛ドラマは展開が遅いので苦手 |
MF18 渡邊 真衣(23) 空手で鍛えた体幹が武器 同僚の証言①「かまってちゃん」 |
MF23 柳瀬 楓菜(21) ボール奪取力&運動量が武器 茶道を初体験しての感想 |
【アルビレックス新潟レディース】
GK1 平尾 知佳(26) WEリーグ最強守護神 ’23W杯 なでしこメンバー |
DF2 浦川 璃子(25) リーグ屈指の大型ディフェンダー 自分を動物に例えると |
MF7 園田 瑞貴(26) 通称“新潟のネイマール” ドリブルと細かいタッチが武器 |
↓ まさかの読書感想文
FW8 石淵 萌実(27) 大会得点ランキング2位ですイェイイェイ 西野亮廣著「新世界」の感想 |
MF10 上尾野辺 めぐみ(37) 世界一を知る“大黒柱” ①’11W杯 なでしこ優勝メンバー ②小学生の頃 習字教室に通うも |
↓ カビゴン知らず、ネット検索してしまった
FW11 道上 彩花(29) 得点ランクトップの決定力 本人からみなさんへ質問 |
F13 杉田 亜未(31) 今年電撃加入の新戦力 7月にN相模原から移籍 |
MF17 滝川 結女(24) 闘志むき出しのドリブラー 普段はキャピキャピ系 |
↓ カブトムシは曲名のことですよね?
FW19 川澄 奈穂美(38) ①カブトムシ好きのW杯優勝戦士 熱狂的なaikoファン ②アメリカから今夏新加入 ’11W杯 なでしこ優勝メンバー |
DF32 白沢 百合恵(19) 地元出身のホープ U-19日本代表の生え抜き |
3年目のWEリーグが注力を目指す「ブランディング策」なのか
実は、この紹介テロップについて、テレビ東京は公式YouTubeチャンネル(テレビ東京スポーツ)で「ちょっとクセがあるテレビ東京の中継 選手小ネタ集」と題し、切り抜き動画を上げていた。のちに知った。
そういえば、WEリーグの高田春奈チェアは昨季のEリーグ終了後に、今季はブランディングに注力したいと話していた。
その内容は、サッカーファンの評価軸でみた女子サッカーと、サッカーを知らない人がみた女子サッカーは違う。自分たちも気づいていない女子サッカーの価値や魅力をもっと掘り起こし、可能性を広げたいというものだ。
今回の紹介テロップは視聴者に選手を印象づけるためのブランディング策だったかもしれない。テレビ東京とのコラボによる。それならば、確かに印象に残った。インパクトもあった。
3年目のWEリーグ。面白いブランディング策はどんどんやっていいと思う。「クセのある紹介テロップ」、リーグ開幕後も続けてみてはどうか。
(了)