当面はプロ・アマ混在の「WEリーグ」。選手の契約事情や報酬体系は?
9月12日に開幕する日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」。プロ化で気になる選手の年俸はどのくらいなのか。契約事情や報酬体系についてまとめてみた。選手の人件費はクラブ収益に左右される。財政基盤が安定するまでの当面はアマチュア選手も混在するリーグ運営になるという。
プロ契約はA、B、Cの3つ。クラブの参入条件はプロ契約15人以上
WEリーグは、Jリーグと同様に「統一契約制度」を導入。プロ選手は、プロA契約、プロB契約、プロC契約の3つに分けられる。
プロA契約の基本報酬は年額460万円以上(初めてA契約を結ぶ場合は670万円以下)。プロB契約とプロC契約の基本報酬は年額270万円以上460万円以下と規定されている。最低年俸270万円のラインは、クラブのWEリーグ参入基準だ。
では、基本報酬が同額のプロB契約とプロC契約の違いは何か。
プロB契約は変動報酬を自由に設定できるが(出場給を設定する場合は1試合あたり47620円以下)、プロC契約が設定できる変動報酬は出場給と勝利給のみとなっている。
そして、リーグの参入条件として、クラブはプロA契約5名以上、プロB契約とプロC契約は合わせて10名以上と契約しなければならない。つまり、「プロ選手15名以上」との契約が必要である。
・公式戦の出場時間で分けられる。プロC契約は3年まで
選手をA、B、Cに分けるのは公式戦の出場時間である。
規定の出場時間(WEリーグ:450分、なでしこリーグ1部:900分、なでしこリーグ2部:1350分)を満たした選手はA契約もしくはB契約を結ぶ(A、Bの規定時間に差はない)。それ以外の選手はC契約となる。この出場時間には、各リーグのカップ戦や皇后杯はもちろん、日本代表(なでしこジャパン)やU-20ワールドカップ本大会の試合なども含まれる。
ただ、C契約を結べる期間は3年まで。それ以降、契約を更新する場合は、AかBのいずれかの契約を結ばなければならない。プロC契約の選手は3年以内に実績を残さなければ、A、Bへの昇進は難しくなるだろう。戦力外となる可能性もある。
また、WEリーグは各クラブが世界レベルの外国人選手を獲得する場合の資金繰りを考慮し、補助金(上限320万円)の支給を目的とした「外国籍女子選手受け入れ支援制度」を設けている。この制度を利用することで、より高額な報酬が必要となる外国人選手の獲得も可能だ。(ビッグネーム獲得に期待! WEリーグの「外国人選手補助金制度」とは? に詳細)
クラブ収益によりアマ選手も在籍。安定した財政基盤がカギに
WEリーグの岡島喜久子・初代チェアは、各クラブには、リーグからの分配金2000万円(リーグからの分配金4000万円と各クラブがリーグへ出資する2000万円を相殺したもの)や、日本サッカー協会(JFA)からの支援金があることを明かしている。しかし、それだけでは「プロ契約選手15名以上」の報酬を補うことは難しい。
リーグが目標に掲げる平均観客数5000人以上は人気のあるクラブにとっても高いハードルだ。選手の人件費はクラブ収益に左右される。収益の見通しが不透明なリーグ創成期は、プロ契約選手の数にも慎重にならざるを得ないだろう。