海外サッカー

ACLに「3軍」若手チームを派遣した中国のサッカー事情とは?

ACL2021で戦う広州FCと傑志FC
(source: the-afc.com

 タイとウズベキスタンで開催中のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)2021の東地区グループ予選。毎年日本のJリーグ勢を苦しめている中国のクラブが、今年は若手中心のメンバーで臨んでいる。

 「3軍」相当のほぼ21歳以下のチームを派遣したのは北京FCと広州FC。なぜなのか。報じられた理由は「国内リーグを優先した」や「若手育成の機会にした」などだ。

 しかし、調べてみると本音は別のところにありそうだ。そこには6月のワールドカップ2022カタール大会(以下、W杯)アジア2次予選で起こった「想定外の事態」も大きく関係していた。

W杯予選が蘇州からUAEに変更。想定外の海外遠征に

 「想定外の事態」とは何か。発端は今年5月末から6月上旬にかけて行われたW杯アジア2次予選だ。

 W杯2次予選は、新型コロナウイルスの影響で従来のホーム&アウェー方式が取り止めに。中国を含むグループA(中国、シリア、フィリピン、モルディブ、グアム)は、中国蘇州市で集中的に8試合が行われることが決まっていた。

 しかし、5月30日の中国とグアムの試合中のことだ。中国サッカー協会(CFA)のもとにモルディブ代表チームの2人が新型コロナウイルスに感染したという知らせが届いた。

 FIFA(国際サッカー連盟)の規定では、濃厚接触者はPCR検査で陰性であれば試合出場が可能だ。しかし、厳格な「コロナ感染対策」を取る中国では、濃厚接触者は「隔離」の処置が必要だった。

 CFAはすぐにアジアサッカー連盟(AFC)へ連絡。当初はモルディブの当該試合の緊急措置で対応を考えたという。だが、翌31日に今度はシリア代表でも感染者が発生。これにより、モルディブとシリアの両代表チームが中国に入国できない事態となってしまった。

 「蘇州での試合開催ができないのなら」と、AFCはUAEに会場を移しての代替開催を提案。CFAは予選自体の延期を望んだが認められなかったという。同日、残りの7試合はUAEで開催することが決定。中国代表チームは急きょ、海外遠征を余儀なくされてしまった。UAEへ向かう代表チームには、北京FCと広州FCからそれぞれ6人の選手が招集された。

 中国代表は6月15日のシリア戦に勝利してアジア2次予選を終了。グループ2位となり、最終予選進出を決めた。

クラブ側は「思わぬ誤算」。主力選手のACL出場が困難に

 思わぬ誤算となったのは、主力の代表選手を多く抱える北京FCと広州FC。ACLを控える中、本来は蘇州からの国内移動でクラブに戻るはずだった。

 来年2月に北京冬季オリンピックを控える中国はいま、日本以上に厳しい「コロナ対策」を徹底している。国外からの帰国者は例外なく最低14日間のホテル「隔離」となる。

by KEGEN PRESS編集部
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