育児中の元なでしこ岩清水梓、先輩のバトンつなぎ「WEリーグ」旗振り役を担う
その理念の実現に向けて、WEリーグではスタジアムでの「託児所の確保」をクラブ参入の条件にしている。
子どもを連れて女性が気軽に足を運べる環境、また選手が産後復帰しやすい環境を整えるのが狙いだ。岩清水選手も託児所の必要性を訴えている。宮本さんの現役時代は、競技場近くの部屋の確保やベビーシッターの手配を自ら行っていたという。
しかし、この問題はWEリーグだからというわけにはいかない。Jリーグなども含め、日本サッカー全体で取り組むことが求められる。Jリーグでは、浦和レッズや鹿島アントラーズ、サンフレッチェ広島などの一部のクラブがすでにスタジアム内に託児所を設置している。
こうした中で、岩清水選手に続こうとする選手がすでに出ている。
元日本代表でジェフユナイテッド市原・千葉レディースFWの大滝麻未選手が5月7日に妊娠を発表、クラブ側も出産に向けてサポートする意向を示した。
大滝選手はクラブを通じて、「『子どもが欲しいから来年は引退』と、当然のように決めていた私が、周りにいる沢山の理解者に、妊娠・出産をして復帰するという選択をしていいんだということに気づかせてもらうことができた。いつか、この選択が当たり前になり、女子アスリートが女性としてのライフステージと向かい合いながら、大好きなスポーツを続けられる社会になっていくことに、少しでも貢献できたらうれしい」とコメントを発表した。
9月のWEリーグ開幕に向けて、岩清水選手は「出産してもやれるんだということを表現したい」「後輩たちの目標や選択肢の1つになれる選手でありたい」と意気込みを語っている。「わが子との選手入場」が目標だという。
道を切り開いた宮本さんからのバトンをつなぎ、WEリーグの旗振り役を担う彼女の挑戦を応援したい。
(了)
by KEGEN PRESS編集部