カルチャー

広島の「街なか」サッカースタジアムがいい! 東京・代々木公園の構想実現はいつに?

 堀江氏が強調したかったのは「普段使いする場所にスタジアムがある」ことの必要性。「極論ですが、もしも六本木ヒルズにサッカースタジアムがあったら、(誰もが)観に行きたくなる」と、かれらしい常識にとらわれない発想で持論を展開した。「新たなサッカーファンの獲得」にもつながる、と。

 「いいね! 、ホリエモン。どうぞ進めちゃってください!!」とあのときは思った。そして、かれをアドバイザーとして招いているJリーグにも感心したのだが。

「スクランブルスタジアム渋谷」構想が2018年に始動していた

 東京・渋谷区の代々木公園に、サッカー専用のスタジアムを建てる計画があることを知ったのは昨年のことだ。

代々木公園のサッカー場
代々木公園のサッカー場はまだ土のまま(2020年撮影)

 代々木公園には昔からサッカー場がある。NHKの裏。外国のフェスティバルなどがよく催される野外ステージ、イベント広場に行ったことがある人なら、隣にあるサッカー場を見たことがあるだろう。

 サッカーの練習試合で何度も使ったことがあるが、最近、疑問に感じていたことがあった。

 それは、いまだに「土」のピッチだということだ。

 ここ数年、都内でも自治体によって「人工芝」に改修された球技場が増えている。草サッカーレベルでも快適に楽しめる環境が整備されてきた。

 それなのに、代々木公園のサッカー場はいまだに土のまま。風が吹けば砂ぼこりが舞う。雨が降れば、泥だらけに汚れる。昨年夏に利用した際は、コロナ禍の緊急事態宣言により利用頻度が少なかったためか、所々に雑草が生えていた。

 「なんでここはいまだに土なの?」。疑問に思っていたことをつぶやくと、「代々木スタジアム構想があるらしい」「FC東京の計画らしい」などとチームメイトが教えてくれた。

 知らなかった。なるほど、だからあえて人工芝にしないのか。と、納得した。

 調べてみると、計画は2018年9月に発表されていた。

 正式名称は「スクランブルスタジアム渋谷」構想。渋谷区の賛同を得た「一般社団法人渋谷未来デザイン」という団体が主体となって、協賛企業を募りながら進めているという。あくまで民間主導だ。

 スタジアムの収容人数は3~4万人。コンサートやイベントも開催できる施設にするという。完成目標は「2027年」としているが、コロナ禍の影響だろう、この1年間は進展があまりないようだ。

都内のJリーグクラブによる争奪戦か?

代々木公園周辺の航空写真
代々木公園周辺の航空写真。サッカー場がある赤枠の部分がスタジアム建設構想地

 FC東京による計画ではなかったが、すでに水面下で「FC東京、東京ヴェルディ、町田ゼルビアの3クラブによる争奪戦が繰り広げられている」みたいな内容を報じているメディアもあった。3クラブともに関心を寄せているようだ。

 それもそのはず、JRの原宿駅と渋谷駅のほか、東京メトロ千代田線の代々木公園駅と小田急線の代々木八幡駅からも歩いて行ける。

 仕事帰りにふらっと立ち寄れるし、広島の新スタジアム同様、海外や都外からの観光客の来場も見込めそうだ。争奪戦になるはずだ。

「スクランブルスタジアム渋谷」構想の完成イメージ図
「スクランブルスタジアム渋谷」構想の完成イメージ図(source: 一般社団法人渋谷未来デザイン

 東京都心の「街なかスタジアム」構想を知り、うれしく思ったが、「2027年まで、まだまだ先だなあ…」というのが率直な感想だ。

 でも、日本のサッカーは日進月歩で成長を続けている。変化も早い。だから東京オリンピックや来年のFIFAワールドカップカタール大会の成績しだいでは、構想推進の機運が急速に高まる可能性だってある。

 そう前向にとらえながら、進展を待ちたい。

(了)

by 北 コウタ
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