WEリーグ&なでしこ

池田新監督で「なでしこ」は変わるのか。抜擢の決め手は「情熱的なチームビルディング」?

 今井委員長は高倉体制について、「チームコンセプトを定めながらも、選手個々の状況判断を大事する監督。スタイルはあまり限定せず、限定することで失うことを嫌う。自由度を与え、選手を選びながらトライした。そのチャレンジや理想に共感した所は多々あった。やりたいサッカーを出せた時間帯もあった。だが、長い時間は発揮できなかった」と総括した。課題については、「もう少し約束事、決まり事、拠り所となる軸があったほうが、より選手が安心してプレーできたかもれない」と指摘した。

 一方、池田監督については、「連動性、細部の詰めるところ、チームビルディングに長けている。またダイナミックなサッカーを目指していて、日本の良さを違う方法で引き出すことができるのではないかと考えた」と説明した。技術と連動性などの日本人の良さを活かして戦う基底の部分は高倉体制と共通していると強調した上で、「もう一度、違う刺激のもとで継続性を求めていくのが良いと考えた」と述べ、高倉体制で感じた課題の改善に期待した。

情熱的で人心掌握に長けた池田監督。選ぶのは「全力でプレーできる選手」

 池田監督の手腕について、メディアでよく取り上げられるのが「チームビルディング力」だ。熱血指導で知られ、U-20女子W杯の優勝メンバーからは「熱男」のニックネームで慕われ、信頼を得た。試合前のミーティングで涙ながらに奮起を求め、選手のモチベーションを上げたエピソードもある。

FIFAU-20W杯で日本を優勝に導いた池田太監督
U-20W杯優勝に導き、トロフィーを掲げる池田監督。2018年(source: getty images)

 もしかすると、新監督抜擢の最大の決め手は、この「情熱」にあるのかもしれない。

 「代表選手に何を求めるか」と問われた池田監督は、「一番に考えるのは自分の持っているパフォーマンスをすべて出し切れる選手。つまり、全力でプレーできる選手」と答えた。根本であり、大切にしていくという。技術が高くても、気持ちを出せない選手は選ばない意向だ。

 思えば、東京オリンピックに見る、なでしこジャパンの「消化不良感」は「気持ち」の部分に見られた。元日本代表主将の澤穂希さんは、「本当にメダルを取りたいと思うならば、もっともっと戦わないといけない。90分で倒れた選手は何人いたのか。何が何でも勝ちたいと思う選手が何人いたのか」と物足りなさを指摘した。

 体格で勝る欧米の強豪国と対等にやり合うには、技術よりもまず気持ちで負けないことが絶対だ。だからこそ、情熱的で人心掌握に長けた池田監督に白羽の矢が立ったのではないだろうか。

 池田監督は「世界王座を奪還する強い気持ちでチームを作る」と決意を語った。どんな選手を選び、どうモチベートしていくのか。その初陣は11月の海外遠征になる予定だという。

(了)

by 北 コウタ
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