当面はプロ・アマ混在の「WEリーグ」。選手の契約事情や報酬体系は?
こうした事情もあり、各クラブに所属するすべての選手がプロ契約を結ぶわけではない。当面はサッカー以外に仕事を持つアマチュア選手も混在する。
日本代表の岩渕真奈選手(英・アーセナル・ウィメンFC所属)は、INAC神戸レオネッサ時代にWEリーグ発足のニュースを知った。メディアの取材に対し岩渕選手は、「個人事業主になることに不安を抱えている選手が周りにすごくいた」と当時の様子を語っている。
女子サッカーは、男子サッカーに比べて選手キャリアが短い人も多く、将来を見据えて現状の仕事を維持したい選手がいてもおかしくはない。高校や大学の新卒選手の中には、「社会経験も積みたい」と自ら望んでアマチュア契約からスタートする選手もいるという。
アメリカの女子サッカーリーグを例に見れば、WUSA(2001年―2003年)、WPS(2009年―2011年)と過去に2つのトップリーグが存在したが、いずれも集客不足や人件費の高騰などの財政難を理由に短期間で廃止に追い込まれた。
その後、教訓をふまえて2012年に始まった現在のNWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)は、大学施設などの中小規模のグラウンドを試合会場にするなど身の丈に合った運営を進めているという。
将来的な不安を抱かせず、数年という短いキャリアの中でもプロとしてサッカーに打ち込める環境をいかに選手に提供できるか。WEリーグの大きな課題のひとつだろう。財政基盤の強化がカギになる。
(了)
by KEGEN PRESS編集部